GT-R エンジン②
不具合はまだある。
エンジンルームを開け、ラジエター付近を見ると、導風カバーが妙にグラグラしてる。
どうやら長年高熱に晒されたせいでプラの取り付け部分が割れたようだ。
20年近く経過すれば当然ではあるが、しかしもう少し熱に強い素材になぜしなかったのかと疑問ではあるが。
…実はR32 GT-Rは設計当初からオーバーヒートぎみなのを指摘されており、NISMO仕様の穴開きバンパーを後から開発したりとかしてるが、それでも完璧とは言えない。
当時の設計思想にはなかった事だから仕方ないのだが、設計構造上、冷気の吸気をいくら頑張っても、エンジンルーム後部への熱気の排気がスムーズでないのだ。
エンジンルーム後ろ側がごちゃごちゃしており、フロントルーバ等から進入したエアの出口が塞がれてるような状態なのだ。
現行のR35 GT-Rはミッションが後部に移動した為、この隙間を利用して車体下部へのエア抜きを可能にしており、これによって排熱と同時に空力も向上している。
しかしR32は何をどうやっても(横から飛び出ているオイルフィルターを小型のものに換えても)排出できるエンジン内エアには限界がある。
もはやこれは、フェンダー部分に熱抜きルーバーを取り付けるでもしなければ解決しそうにない。
フロントフェンダーのデザインを崩さずに取り付けるのはちょっと難しく、かといってヘタにドイツ車ちっくなものにすると、下品な走り屋と化してしまう。
イタリアンデザインはそこら辺の処理を見事にしており、もちろん35GT-Rもデザイン上目立ちにくいように処理されている。
ただし外側の形状を大幅に変更するのは陸運の許可がいるので現行GT-Rのようにはできないが、しかし何か方法があるような気がする。
別の方法として、ボンネットルーバーつきにしている32GT-Rをよく見かけるが、あれは屋根つき車庫に格納できる環境でないとお勧めできない。
例えば週末しか運転しない場合、埃やら汚れやら水垢までもが中に入って、マメにエンジンルーム洗浄をするハメになるとの事だ。
更にあの構造は、エアコンの外気取り入れ口に近くなる事から、夏場はエアコンの利きが悪くなる、という欠点もある。
何よりもあのボンネット形状でルーバーを取り付けると、元デザイナーのワシとしては、どうもとってつけたような唐突さを感じてイケてないように思う。
まぁこの熱抜き対策は全てのレストアが済んでからの課題であろうが。